【2010年4月23日(金)宮下公園野外上映会 Vol.3】
今、渋谷にある宮下公園が存続の危機に直面しています。渋谷区が 大手スポーツメーカーのナイキジャパンに公園の命名権を売却し、 スポーツ施設を設置した「宮下NIKEパーク」への改修工事が行われようとしています。一企業の利益優先や野宿者排除など、多くの問題を抱えたまま「宮下 公園のナイキ化計画」は、民主主義的な手続きを踏むことなく、区長や一部の議員のトップダウンで強引に進められてきました。フェンス封鎖と工事着工が目前 に迫る中、この計画に反対する人たちが、公園内にテントを設置して泊まり込むなど、抗議活動を続けています。
私たちは、この問題を多くの人に知ってもらうために、以下の上映会を開催することに致しました。お誘い合わせの上、どうぞふるってご参加下さい。
■宮下公園野外上映会 Vol.3
【日時】4月23日(金)開場18:30、開演19:00
【場所】宮下公園原宿側(渋谷駅から徒歩3分)
【参加費】無料 *雨天の場合は、4月24日(土)開演19:00に順延致します。
19:00- 『公園』上映
大阪の南のターミナル・天王寺駅の改札を出ると、すぐそこは天王寺公園だ。視線を上に向けると前方には通天閣が見えるように、天王寺公園は盛り場 ・新世界、日雇い労働者の街・釜ヶ崎が隣接し、多様な人々の憩い・休息・遊びの場として機能するまさに公共空間そのものであった。少なくとも2004 年の1月4日までは、大通りを行き交う自動車の大騒音にも負けず、カラオケに興じる「民」の声が天王寺駅を出るとすぐに響いてきたのだった。
大阪市は30年以上続いてきた青空カラオケに対し、2003年10月当事者との対話もなく突如撤去する方針を発表した。『公園』はその後の数カ月に渡 る闘いと公園の様子を記録しようとものである。様々な人々が自由に集い、歌い、踊り続けてきた「青空カラオケ」が表現していたものは、大衆芸能という図太い娯楽に貫か れたむちゃくちゃ足腰の強い「よろこび」の感情であり、その声は公園とは誰のものなのかを未だに問い続けている。
20:30- ティーチイン「公園について考える」
ゲスト:いちむらみさこ(アーティスト)、山川宗則(『公園』制作者)
■作品データ
『公園』 (2004年/110min/カラー/DV) ※上映はDVDで行ないます
製作・撮影 山川宗則・酒井隆史
資料提供 原口剛
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■『公園』制作者コメント
もう5年も前になるだろうか、『公園』上映にさいして、この映画は、公園に壁や植え込みをめぐらせ嫌がらせをするようなことをひとが恥ずかしく思うような時代がきて、あのにぎわいにみちた天王寺公園の光景が、今度は真に人々のものとなって、ふたたびあらわれることを願って作った、というような短い文章を書いた。その思いは変わらない。こんな馬鹿なことが長くはつづくはずがない。そう信じている。
酒井隆史
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公園で初めて撮影したのは1990年代前半、大学生のときだった。もぐりで通っていた大学のゼミで「公園」をテーマにドキュメンタリーを共同制作するためだった。ビデオカメラを構えた途端、水飲み場にいたおじさんがこちらに向かってきて突然カメラを力いっぱい殴りつけた。「何勝手に撮ってるんだよ!」。以来、僕にとって公園とはそのような他者が不意に迫り出してくるような場所であり、また自分の行為が他者を圧迫してしまうかもしれない、そんなところであり続けている。
3月15日から「宮下公園アーティスト・イン・レジデンス」は宮下公園内にテントをはって作品を設置し続けている。これには如何なる正当な理由があろうとも、ある種の人たちにとって圧迫感を与えてしまう存在になりうることは否めない。その意味においては、天王寺公園の青空カラオケも同じだった。
「公園って誰のもんなん?」彼らの音楽はときに大音量だったけれども、そこに集う人たちの声は大阪市行政や多くの市民に聞きとられなかった。うるさい、汚い、迷惑だ…。青空カラオケの人々は自分たちや他の人たちが公園に居ることの意味を問うていたと思う。デンマークのチボリ公園をモデルとして有料化・夜間閉園となった天王寺公園は今に至るまで人もまばらな閑散とした空間となっている。
記録映像『公園』は映像表現としてはひどく稚拙だけれども、なんとか青空カラオケの人々の豊かな声を受け止めようとしたつもりだ。今、宮下公園で彼らの声を響かせる、このことを僕はとても嬉しく思う。
山川宗則
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連絡先:yoshida@scan-net.ne.jp 090-5520-6752(担当:吉田)
http://minnanokouenn.blogspot.com/(みんなの宮下公園をナイキ化計画から守る会)
http://airmiyashitapark.info/wordpress/(宮下公園アーティスト・イン・レジデンス)
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